栄養メモ

習慣にできる!健康的な糖質制限の考え方。

最近のメディアや書籍では、魅力的なスタイルや健康的な体を目指している人向けに、低糖質ダイエットや糖質制限をおすすめするものが多いですね。

ぼく自身も糖質の摂取量を減らすことには賛成です。

実際に現代人の糖質の摂り過ぎがさまざまな病気の要因の一つになっていることは確かです。

しかし、ボディービルダーやフィジーク選手の減量期のように糖質を極端に控えることはおすすめできません。

では実際に、健康的に体に負担をかけずに糖質を摂るには、

  • どのような種類の糖質を
  • どれくらいの量
  • どのタイミングで
  • どの順番で

摂取するといいのか、論文などを参考・引用しながら個人的な見解を含めた上で提案していきますね。

それではいきましょ〜

そもそも糖質を摂りすぎるとどうなるの?

例えば、糖質を摂りすぎると、以下のような病気になる可能性があります。

肥満

糖質を過剰に摂取すると、膵臓から放出されるインスリンの作用によって脂肪に変わり、肥満を引き起こす可能性があります。

糖尿病

糖質の過剰摂取により、血糖値の急激な上昇を引き起こし、これを繰り返すことで長期的にインスリンの分泌を刺激します。結果、インスリン分泌能力が低下し糖尿病を引き起こす可能性があります。

心臓病脳卒中

糖質の過剰摂取により、高血圧や高コレステロールになるリスクを引き起こし、心臓病や脳卒中を引き起こす可能性があります。

精神疾患(うつ病や気分障害):

Anika Knüppelらによる研究では、砂糖が含まれる食品・飲料の摂取と、蔓延する、偶発的、再発性の気分障害との関連性を調査し、同時にこれらの障害がその後の習慣的な砂糖摂取に与える影響も調べました。

この研究は、”39歳から83歳までの男女を対象とした23,245回の反復測定に基づく”ものです。

その結果は、”男性と女性でCMD(一般的な精神疾患)発症の可能性が増加していることを発見しました。”また、”甘い食べ物や飲み物からの糖分の摂取量が多いと、男の気分障害を再発するリスク、5年後にCMDを発症する可能性が高くなる”としています。そして、”高砂糖摂取がうつ病とCMDの発症および再発のリスクの両方の原因となる役割を果たしているという仮説と一致している”と述べました。

Knüppel、A.、Shipley、MJ、Llewellyn、CH他。甘い食べ物や飲み物からの砂糖摂取、一般的な精神障害とうつ病:Whitehall II 研究からの前向きの結果。 Sci Rep 7、6287 (2017)。https://doi.org/10.1038/s41598-017-05649-7

どのような種類の糖質がいいの?

控えた方がいい・少量にしておいた方がいい糖質

摂取を控えた方がいい糖質の種類には、以下のようなものがあります。

高GI(グリセミックインデックス)の炭水化物

GIは食品の血糖値への影響を示す指標です。高GIの炭水化物は急速に血糖値を上昇させる傾向があります。例えば、精製された白米やパン、麺類は高GIの炭水化物です。

加工された糖

加工食品やジュース、スナック菓子などに多く含まれていることがあります。商品の原材料ラベルを見ると、「水あめ(酸糖化、酵素糖化)、ぶどう糖(精製、無水、含水)、オリゴ糖、粉あめ、異性化液糖(ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖)、果糖」などと記載されいます。これらの糖は、高GI食品と同等かそれ以上に血糖値を急上昇させます。

高デンプン食品

デンプンは糖質の一種であり、芋類やコーンなどに多く含まれています。これらの食品は炭水化物の主要な供給源です。

糖質を含むおすすめの食材

食物繊維やタンパク質、脂質を多く含む食品を食べることで、胃や腸での消化吸収が緩やかになります。

これにより、血管内への糖質の流入がゆっくりになり、血糖値の急上昇が抑えられます。

糖質を含んでいるおすすめの食材には、以下のようなものが挙げられます。

野菜:

野菜はビタミン類が豊富で、特にビタミンC、ビタミンA、ビタミンKなどが含まれていることが多いです。また、ミネラルも多く含まれていて、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどもよく含まれています。そして、食物繊維の量が多いため、血糖値の急上昇が抑えられます。特に、緑黄色野菜や繊維が豊富な野菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど)がおすすめです。

穀物・雑穀類:

全粒穀物や雑穀(玄米、オートミールなど)には、食物繊維やタンパク質が豊富です。また、ビタミンB群(ビタミンB1、B2、ナイアシン、葉酸など)や鉄、マグネシウム、亜鉛なども含まれています。

豆類:

大豆、豆腐、納豆、ひよこ豆などの豆類には食物繊維やタンパク質が豊富です。特に大豆はタンパク質の含有量が多く、ビタミンB群(ビタミンB1、B2、ナイアシン、葉酸など)、鉄、カルシウム、マグネシウムなども含まれています。また、ポリフェノールやイソフラボンなどの抗酸化物質も含まれています。これらの物質は体内の活性酸素を抑制し、細胞へのダメージを防ぎ、慢性疾患のリスクを低下させる効果があります。特に大豆にはイソフラボンが豊富に含まれており、女性ホルモンに似た作用を持っています。タンパク質が豊富なので、ぼくは料理によく使っています。

ベリー類:

ブルーベリー、ラズベリーなどのベリー類は糖質を含んでいますが、それ以上に食物繊維や抗酸化物質が体に与えるメリットが大きいです。ベリー類に含まれる抗酸化物質のうち、特にアントシアニンというポリフェノールが多く、体内の活性酸素を抑制して細胞へのダメージを防ぎ、炎症を抑える効果があります。毎朝ヨーグルトに混ぜて摂ることで、タンパク質も一緒に取れるのでおすすめです。

ナッツ類:

ナッツ類は、たんぱく質、ミネラル、ビタミン、不飽和脂肪酸(特にオメガ-3脂肪酸)、食物繊維などを多く含んでいます。糖質もそこそこ含んでいますが、良質な脂質が摂れるので個人的におすすめです。ぼくは間食やトッピングとして利用していますね。

どれくらいの量を摂ればいい?

そもそも1日にどれくらいの糖質を摂っていれば十分なの?炭水化物(糖質+食物繊維)として考えよう

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書の各論>エネルギー・栄養素>炭水化物によると、

炭水化物の"目標量(下限)は、たんぱく質の目標量の上の値(20%エネルギー)と脂質の目標量の上の値(30%エネルギー)に対応させた。ただし、この場合には、食物繊維の摂取量が少なくならないように、炭水化物の質に注意すべきである。"また、"アメリカ人中年男女(45〜64歳)15,428人を25年間追跡して、炭水化物摂取量と総死亡率との関連を検討した報告によると、炭水化物摂取量が50〜55%エネルギーであった集団で最も低い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察された"と報告されています。

このことから、一般的な糖質の1日の摂取量は、

総摂取カロリーの50%を炭水化物として摂ればいいことがわかります。

1日の活動量・運動量で糖質量(炭水化物量)は異なる

総摂取カロリーの50%を炭水化物として摂ればいいことがわかったので、まずは、生命を維持するために必要なエネルギーである基礎代謝量を計算します。

基礎代謝量はハリス・ベネディクト方程式(改良版)を使って計算しています。

・男性: 13.397 × 体重kg + 4.799 x 身長cm - 5.677 × 年齢 + 88.362

・女性: 9.247 × 体重kg + 3.098 x 身長cm - 4.33 × 年齢 + 447.593

そこに一日の活動カロリーを足すことで、1日の総消費カロリーがわかります。

・ほぼ運動しない (基礎代謝 × 1.2) 通勤・デスクワーク程度

・軽い運動 (基礎代謝 × 1.375) 週に1〜2回程度の運動

・中程度の運動 (基礎代謝 × 1.55) 週に3〜5回程度の運動

・激しい運動 (基礎代謝 × 1.725) 週に6〜7回程度の運動

・非常に激しい (基礎代謝 × 1.9) 1日に2回程度の運動

例えば、ぼくの場合、基礎代謝量が1,675kcalで、週に3回以上はジムに行ったり自重トレーニングをしていることが多いので、基礎代謝1675 × 1.55となります。

結果、総消費カロリーは大体2596kcalくらいということになります。

そのうちの50%の1298kcal(324g)を炭水化物として糖質を摂るようにすればいいわけですね。

以下に自動で基礎代謝と活動代謝量を算出してくれるWebサイトを載せておきます。

TDEEの計算 - 高精度計算サイト

炭水化物は1gにつき4kcalのエネルギーをもつ。

食物繊維も大事!

また、同報告書の食物繊維の項では、

アメリカ・カナダの食事摂取基準では、研究論文を中心にレビューを行い、14 g/1,000kcalを目安量としている。これは、それぞれの研究において最も大きな予防効果が観察された群の摂取量の代表値に基づく値である。

この基準を参考にすれば、食物繊維の目標量(下限)は、成人では理想的には24g/日以上、できれば14g/1,000kcal以上を目標量とすべきであると考えられる。”と述べられています。

糖質を摂る際は、炭水化物の質(糖質+食物繊維)の良い食材から摂るようにしましょう。

血糖値の急上昇(血糖スパイク)に要注意!

精製された炭水化物(米、パン、麺類など)や、糖質を摂取すると血糖値が急上昇・急降下します。これを「血糖スパイク」と言います。

前提として、血管内の糖質量は100mg/dl前後に維持されるよう調節されています。

そこに、

精製された糖質を摂取 ⇨ 血管内の糖質量が急激に増加(血糖値の急上昇) ⇨ 増加した血管内の糖質量を100mg/dl前後に戻すために、すい臓からインスリンが放出される ⇨ 放出されたインスリンにより、血糖値が急降下します。

この血糖スパイクを繰り返していると、

血糖値が急降下した際に、血管内の糖質量が100mg/dlを下回ってしまい、一時的な低血糖状態に陥ることがあります。

この状態を、機能性低血糖症と言います。

機能性低血糖症とは糖尿病は、インスリンの働きが機能しなくなり、高血糖状態が続く疾患。しかし、インスリンの働きが機能しなくなる前段階の、インスリンの働きが乱れる段階があり、血糖の乱高下など血糖調整異常が現れる状態。この血糖の乱高下の際、いろいろな不定愁訴が現れる。【不定愁訴】無気力、不安感、眠気、だるさ、不眠、興奮状態アレルギー疾患の悪化など。

どのタイミングで摂ればいい?

おすすめは朝食や昼食、運動前後

朝食時:

朝に、食物繊維やポリフェノールが豊富な炭水化物を摂ることで、血糖値を上げ過ぎずにエネルギーを補給し、日中の活動に備えることができます。

昼食時:

質の良い炭水化物を摂ることで、血管や臓器に負担をかけずに午後の仕事や学習に向けたエネルギーを確保することができます。また、これにより血糖値が急上昇するのを抑えられれば、食後急に睡魔に襲われることもなくなるかもしれません。

運動前:

炭水化物はエネルギー源として優れており、運動前に摂ることでパフォーマンスが期待できます。特に長時間や高強度の運動をする予定がある場合は、事前に炭水化物を摂ることで疲労の軽減や持久力の向上に役立ちます。

運動後:

運動によって消耗した糖分やグリコーゲンを補充するために、この時に限っては吸収の早い炭水化物を摂ることがおすすめです。適度な炭水化物摂取によって、回復を促進し疲労感を軽減することができます。摂りすぎには注意が必要です。

また、夕方の食事には糖質(炭水化物)は少なめにしましょう。

その代わりに、タンパク質や良質な脂質、食物繊維やポリフェノール、ビタミン・ミネラルを多く含む食事を摂りましょう。

これらの栄養を夕食で摂ることで、睡眠の質の向上や、体の修復(活性酸素の除去や筋肉の修復や合成、肌のターンオーバー等)にプラスの効果として働きます。

ちなみに、胃や小腸が消化吸収のため活動しているときに寝ると、睡眠が浅くなる可能性が考えられます。

そのため、就寝の2時間以上前に夕食は済ませるようにしましょう。

朝食を抜くと血糖スパイクが発生しやすくなる!?

朝食を摂らずに、昼食夕食で糖質が含まれている食事をすると、 血糖スパイク が発生しやすくなります。

寝ている間、血糖値は下がっていますが、身体活動の維持のためにはある程度、血糖値を上げなければいけません(血糖値の 基準値は100mg/dl前後 を推移している)。

朝食をとらないと、低血糖状態が長く続くので、副腎から 糖質コルチコイド というステロイドホルモンがたくさん分泌されて、血糖値を下げないようにしています。

そして、 糖質コルチコイドが放出され続けている状態 で昼食や夕食で食事をすると、いつもと同じ食事内容だったとしても、いつも以上に 血糖値が上がりやすくなります。

糖質コルチコイド 

インスリン拮抗ホルモンでもあり、肝臓での糖新生(蛋白質を糖に変換すること)を促したり、インスリンに対する感受性を低下させて末梢組織での糖利用を妨げる働きをもっています(インスリンの効きが悪くなる)。

『朝食を抜いた場合の血糖スパイクになるまでの過程』

  1. 寝ている間、血糖値が下がる
  2. 副腎から糖質コルチコイドというホルモンが分泌されることで血糖値を正常に保とうとする。
  3. 朝食をとらないと、糖質コルチコイドが放出されたままになる。
  4. 糖質コルチコイドが、肝臓での糖新生を促進するとともに、インスリンに対する感受性を低下させる(インスリンが効きにくくなる)
  5. 食事(昼食・夕食)をすると、いつもと同じ食事内容でも糖質コルチコイドが放出されている状態なので、血糖値が上がりやすくなる。
  6. 血糖スパイクが発生する。

どの順番で摂ればいい?糖質は食事の最後に摂るようにしよう!

結論から言ってしまうと、野菜(食物繊維)→タンパク質・脂質→炭水化物(糖質)の順番で食べることを意識しましょう。

そうすることで、先に食べた炭水化物以外のものから消化吸収され、糖質が一気にたくさん吸収されるリスクが下がります。

今井らの研究によると、”日本の2型糖尿病患者を対象に、野菜を炭水化物の前に摂取することで、食後の血糖とインスリンのレベルが有意に低下し、2.5年間の血糖管理の改善が観察された。また、正常な被験者との比較では、野菜を炭水化物の前に摂取することで血糖の変動が低下した(L)

と報告されています。

この研究の方法は、”タンパク質、脂肪、炭水化物のエネルギー比はそれぞれ17%、25%、58%で、21gの食物繊維が含まれていた。被験者は野菜の最初の料理を5分間食べ、次にメイン料理を5分間食べ、各食事の合計15〜20分以内に米またはパンを5分間で消費する。”というやり方でした。

なので、野菜やタンパク質・脂質を食べ始めてからから10分以上空けて、炭水化物(糖質)食べるようにすれば間違いないと思います。

よく噛んで食べていれば、10分はすぐに過ぎてしまいますよね。

ぼくも、自炊するときはもちろん食事の順番は意識しています。

しかし、ファミレスやカフェでの食事はどうしても糖質が多く含まれるものになりがちですよね。

なので、糖質(炭水化物)単体で注文はせずに、野菜系やタンパク質系のメニューも必ず注文して、それらを食べてから糖質を摂るようにしています。

もし、糖質(炭水化物)系のメニューしか無い場合は、お茶系もしくは砂糖を添加していないミルク系のドリンクを注文します。

お茶やミルク、コーヒー(無糖)でも、糖質単体で摂るより血糖値の急上昇は抑えられます。

まとめ

今までの内容をまとめると、糖質を摂るときに以下のことを気をつけて実践しましょう。

  • 高GI(グリセミックインデックス)の炭水化物、加工・添加された糖を含む食品、高デンプン食品は控えめにして、野菜・穀物・雑穀類・豆類ベリー類・ナッツ類などに含まれる糖質を摂ること。野菜ジュースやオートミールの粉末状(粒が砕いてあるやつ)、精製された白米・パン・麺とかはダメです(精製された、加工・添加された糖に含まれる)。
  • 1日の総摂取カロリーの50%以内を炭水化物として摂り、食物繊維も1日に24g以上摂るようにする。
  • 朝・昼、運動の前後で摂るようにしましょう。特に朝食を抜いてしまうと1日中血糖値が上がりやすくなってしまう(体調不良や肥満の要因の1つ)ので、糖質に限らずしっかり摂りましょう。夕食は少なめでいいです。その代わりに、タンパク質や良質な脂質、食物繊維やポリフェノール、ビタミン・ミネラルを多く含む食事を摂りましょう。
  • 食べる順番は、野菜→タンパク質・脂質→炭水化物の順で食べることを意識しましょう。また、野菜やタンパク質・脂質を食べ始めてからから10分以上空けて、炭水化物(糖質)食べるようにしましょう(早食い禁止)。

これを、とりあえず1ヶ月間継続してみましょう。

それと、おまけで運動も週2〜3回軽い筋トレ(1日の中でスクワット30回くらい)を行いましょう。

筋トレが嫌であれば、毎日行う動作(電車通勤や家事)を大きく素早く行いましょう。

いつもの歩き方より少し大股でのウォーキングを20〜30分でもいいです。

3日連続よりも1日おきで運動する方が、体をしっかり回復させることができるため、効率よく筋肉が成長します。

そうすれば、少し摂り過ぎた糖質は、筋肉がある程度は取り込んでくれるため、血糖値の急上昇が比較的緩やかになります。

以上のことを実践できれば、健康的でメリハリのある体になれるうえに、日常生活での体の不調も減らせることが出来ると思います。

ぜひやってみてください。

それでは〜

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

ひぃひ

|ONP(Orthomolecular Nutrition Professional)|栄養学・食事|
|ずぼら料理|筋トレ|
|20代|ねこ好き|超内向的|
健康(栄養や筋トレ)について知りたいと思ったことを論文や書籍を参考に、自分の考えたことをアウトプットする場所です。あと、個人的なこと・メモりたいと思ったことをのせます。

-栄養メモ
-, ,