最近、親の知り合いが更年期で悩んでいるのを小耳に挟んだんですよね〜
今40代後半〜50代前半の女性で、何かしらの体の不調が最近出てきたな〜ってひとは更年期によるものかもしれません。
ちょっと気になったので、調べてみました。
今回の内容は、
- 更年期とは
- 更年期障害のメカニズムと症状
- 予防するにはどんな栄養素を摂ればいいのか
- 栄養素を摂るためにおすすめの食材
について書いていきます。
それではいきましょ〜
更年期とは?
更年期は、女性ホルモンの減少によって引き起こされる身体的、精神的な変化が起こる時期です。
更年期になる原因の主な要因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの減少です。
更年期は、一般的に45歳〜55歳にかけて現れることが多く、女性にとって避けて通れないものとなっています。
そのため、女性ホルモンが減少することで、身体的な不調や精神的なストレスが引き起こされることがあり、それらの症状を総じて「更年期障害」といいます。
主に乱れる女性ホルモンは2種類あり、以下の通りです。
- エストロゲン(卵胞ホルモン):エストロゲンは女性の生殖器官や骨、皮膚、脳などの様々な組織に影響を与えます。 子宮内膜にエストロゲンが作用することで、受精卵の着床に備えて厚くなります。
- プロゲステロン(黄体ホルモン):プロゲステロンは、子宮内膜を安定させるように作用します。また、月経周期の調節にも関与しています。
妊娠が成立しないと、子宮内膜ははがれおちます(このときに生理痛が起きます)。また、排卵の1週間後くらいからプロゲステロンは減り始めます。
特に、エストロゲンの減少が更年期障害に大きく関わっています。
生理痛のメカニズム
子宮内膜が子宮壁からはがれる時に、子宮ではプロスタグランジンという痛み物質が分泌されます。 これが月経痛(生理痛)の要因の1つです。 このプロスタグランジンには子宮を収縮させる働きがあり、はがれた内膜量が増えると収縮も強まるため、痛みも強くなります。
更年期障害に関わる卵巣の役割
正常な卵巣の働きについて解説すると・・・
- 脳の視床下部から、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)というホルモンが分泌されて脳の下垂体を刺激します。
- 下垂体から、エストロゲンの分泌を促進するホルモン(FSH)とプロゲステロンの分泌を促進するホルモン(LH)が分泌されます。これらFSH・LHを性腺刺激ホルモンといいます。
- 性腺刺激ホルモンが卵巣に到達すると、卵巣から女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が分泌され、血中の女性ホルモンの濃度が上昇します。
- 血中の女性ホルモンの濃度が上昇すると、脳(視床下部や下垂体)に抑制をかけて、性腺刺激ホルモンの分泌を抑制して、女性ホルモンの分泌を抑制します。
- 逆に血中の女性ホルモンの濃度が低下すると、性腺刺激ホルモンの分泌を促進し、女性ホルモンの 分泌を促進します。
正常に働いている卵巣であれば、4.と5.を繰り返すことで、血中の女性ホルモン濃度を調節しています。
参考文献:トートラ人体の構造と機能第4版
更年期障害を発症するのは卵巣機能の低下!?
更年期障害の主な原因は、卵巣機能に低下によるエストロゲンの分泌量の減少によるものです。
脳から分泌される性腺刺激ホルモン(FSH・LH)によって、卵巣からエストロゲンを分泌するように促されても、老化によって卵巣の機能が低下しているため、エストロゲンを正常に分泌できなくなります。
そうすると、性腺刺激ホルモンが卵巣に到達してもエストロゲンが分泌されず、血中の女性ホルモン濃度が低下したままになってしまいます。
エストロゲンは分泌されていないので、さらに性腺刺激ホルモンが過剰に分泌されます。
この過剰に分泌された性腺刺激ホルモン(FSH・LH)が自律神経中枢に影響を与えることで、更年期障害の症状が起こるとされています。
更年期(更年期障害)でみられる主な症状
更年期障害によって起こる症状には以下のようなものがあります。
症状 | 具体的な症状 |
---|---|
血管神経症状 | ホットフラッシュ(ほてり)、発汗の増加、血圧の変動(高血圧や低血圧)、めまいや立ちくらみ |
胸部症状 | 不規則な心拍数(頻脈や動悸)、胸の圧迫感や痛み、呼吸困難や息切れ感 |
全身症状 | 関節や筋肉の痛みやこわばり、疲労感や倦怠感、不眠や睡眠障害、食欲変動や体重の変動 |
精神的症状 | 不安感やイライラ感、気分の変動(落ち込みや怒り)、集中力や記憶力の低下 |
その他の症状 | 頭痛やめまい、消化器症状(胃痛、吐き気、下痢、便秘など)、皮膚の変化(乾燥、かゆみ、発疹)、尿トラブル(頻尿や尿漏れ) |
個人の状態によっては、これらの症状が異なる場合がありますので、具体的な状況に合わせて医師や専門家に相談してみてくださいね。
予防・対策するにはどんな栄養素を摂ればいい?
更年期になる女性が摂るべき栄養素には、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB群、大豆イソフラボンなどがあります。
また、適度な運動を行うことで骨密度の低下を防止することができます。
それぞれの栄養素について具体的に解説していきますね。
カルシウム
カルシウムは骨の主成分であり、骨の健康維持に欠かせない栄養素です。
更年期になると、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが骨密度を低下させる(更年期後の骨粗しょう症)原因になります。
エストロゲンは、骨を構成する細胞の働きを促進し、骨の再生を助ける作用がありますが、更年期になると、卵巣機能の低下によって エストロゲンの分泌量が減少 します。
その結果、骨の再生が妨げられ、 骨密度が低下 することで骨粗鬆症になるリスクが高まります。
ビタミンD
更年期におけるビタミンDの効果はいくつかあります。
まず、ビタミンDは カルシウムの吸収を促進 する働きがあります。
更年期になると女性は骨密度の低下が進み、骨粗しょう症のリスクが高まりますが、ビタミンDを適切に摂取することで 骨密度の低下を防ぐ ことができます。
『閉経後女性の骨粗鬆症予防におけるビタミン D 治療の有効性のメタ分析』によると、”6ヶ月間月経がない45歳以上の閉経後の女性を対象に、1日100IU以下のビタミンを1〜5年間投与した結果、脊椎骨折の発生率、非脊椎骨折の発生率が低下した”と報告しています。(L)
また、ビタミンDは 免疫力を高める効果 もあります。
ビタミンDの補給による25の研究結果(11,321人の参加者のデータ)をまとめたメタ分析によると、ビタミンDを摂取することで、風邪やインフルエンザのリスクが減少することがわかりました。特に、毎日または毎週ビタミンDを摂取している人は、より効果がありました。また、ビタミンDの効果は、血液中のビタミンD濃度が低い人ほど効果が大きかったことがわかりました。重篤な副作用はみられませんでした(L)。
更年期には体調が崩れやすく、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなりますが、免疫力を高めることでこれらの病気にかかるリスクを減らすことが期待できます。
ビタミンB群
ビタミンB群の効果は、B6、B12やその他のビタミンB群が、神経系の維持やエネルギー代謝、タンパク質の合成に関与しているため、更年期障害の症状緩和に効果があるとされています。
- ビタミンB6(ピリドキシン):ビタミンB6はセロトニンという神経伝達物質の生成に関与しており、心の安定や睡眠の改善が期待できます。また、更年期障害の症状の一つであるイライラや不安を緩和する効果が期待されます。
- ビタミンB12(コバラミン):ビタミンB12は神経機能の維持に重要な役割を果たしており、この不足は神経症状や疲労感を引き起こす可能性があります。ビタミンB12の摂取は、更年期障害による疲労感の軽減に役立つ可能性があります。
更年期には、ホルモンバランスの変化などでストレスが増えるため、ビタミンB群を摂取することでストレスや疲れを和らげましょう。
大豆イソフラボン
大豆に含まれるイソフラボンと呼ばれる成分は、エストロゲンと似た働きをするため、更年期の女性に特に効果があるとされています。
『閉経前後の女性の循環ホルモン濃度に対する大豆タンパク質とイソフラボンの影響:系統的レビューとメタアナリシス』によると、閉経前、閉経周辺期、閉経後の女性 1,813 名に対して大豆タンパク質とイソフラボンを4週間摂取してもらったところ、閉経前の女性では、大豆またはイソフラボンの摂取はFSHおよびLH(性腺刺激ホルモン)を有意に低下させることが示唆された。(L)と報告されています。
更年期には、ホルモンの変動による症状がでます。イソフラボンは、ホルモンバランスを調整する効果があり、更年期のホットフラッシュ(ほてり)の改善に役立つとされています(L)。
また、大豆は心血管系に良い影響を与えると言われています。更年期の女性は、エストロゲンの減少によって心血管疾患のリスクが高まることがありますが、大豆の摂取によって血圧の安定化が期待できます。
『閉経前後の女性の循環ホルモン濃度に対する大豆タンパク質とイソフラボンの影響:系統的レビューとメタアナリシス』によると、”大豆タンパク質の摂取が収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)を改善する効果があることが示されました。特に、1日に摂取する大豆タンパク質の量が25グラム以上で、大豆イソフラボンの摂取量が100ミリグラム以上の場合、血圧の低下効果がより明確に現れた。この結果から、大豆タンパク質には血圧を改善する効果があり、その主な要因は大豆タンパク質に含まれるイソフラボン成分である可能性が示唆されている”と報告されています(L)。
おすすめの食材
カルシウム:
カルシウムは乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)や葉菜類(ほうれん草、小松菜)、大豆製品(豆腐、納豆)、青魚(サケ、イワシ)などに含まれています。
ちなみに、サプリメントから摂ると、『ビタミンDの有無にかかわらず、カルシウムサプリメントは心血管イベント、特に心筋梗塞のリスクを若干増加させる』(L)可能性がありそうなので、サプリメントでの摂取はお勧めしません。できるだけ食材から摂るようにしましょう。
ビタミンD:
ビタミンDは鮭や卵黄に含まれています。十分な量を摂るためには、サプリメントでの補給をおすすめします。
ビタミンB群:
ビタミンB群は豚肉や牛肉、魚介類、卵、乳製品、ナッツ類に含まれています。サプリメントで補給する際は、B1〜B12を一緒に摂取するようにしてください。『ビタミンB群』のサプリメントを選んでください。 ビタミンB群を食事だけで満遍なく充分な量摂ることは難しいです。特に、精神的にストレスが多い環境にある・感じやすいひとや、運動する頻度の多いひとは、サプリメントで補給することをおすすめします。
大豆イソフラボン:
大豆イソフラボンは、主に大豆製品に含まれています。以下に、一般的な大豆イソフラボンを含む代表的な食材には豆腐、豆乳、枝豆、大豆加工品などが挙げられます。
まとめ
更年期は、一般的に45歳〜55歳にかけて現れることが多く、その主な要因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの減少です。
女性ホルモンが減少することで引き起こされる様々な身体的な不調や精神的なストレス症状を、まとめて更年期障害といいます。
主な症状には、ホットフラッシュ(ほてり)、発汗の増加、めまいや立ちくらみ、関節・筋肉の痛みやこわばり、疲労感・倦怠感、不眠や睡眠障害、食欲変動、不安感やイライラ感、気分の変動(落ち込みや怒り)などが挙げられます。また、骨粗しょう症も更年期以降に特にみられやすい疾患です。
これらの、更年期障害による症状を予防・軽減するために以下のような栄養素を積極的に摂ってみましょう。
以下は、栄養素とそれに含まれる食品の表です。
栄養素 | 食品 |
---|---|
カルシウム | 乳製品、葉菜類、豆腐、青魚 |
ビタミンD | 鮭、卵黄 |
ビタミンB群 | 豚肉、牛肉、魚介類、卵、乳製品、ナッツ類 |
大豆イソフラボン | 大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)、大豆食品、大豆加工品 |
特にビタミンD、ビタミンB群は、十分な量を食事で摂取することが大変なため、サプリメントで補うことをお勧めします。大豆イソフラボンは、大豆タンパク質25gを目安に摂取しましょう。
最後に、週に2〜3回の運動をすることで、 更年期障害における様々な症状が軽減できます。
『更年期障害に対するヨガ - 系統的レビューとメタ分析』によると、このメタ分析では、1306人の参加者を対象にした13件の研究を調査しました。
結果として、ヨガの効果は、”総合的な症状や心理的な症状、体の不快感、血管の問題、泌尿生殖器の症状に対して見られました。特に、血管の問題に対する効果が顕著であった”(L)と報告されています。
女性の更年期障害は更年期後の人生にも影響を及ぼす問題です。
そのため、更年期の前、中、後にどれだけ対策ができるかが大事になってきます。
今回の内容を少しでも役に立ててみてください。
それでは〜